【Bloodstained: Ritual of the Night】クラウドファンディングに対する誤解と認識不足【炎上考察】

【Bloodstained: Ritual of the Night】クラウドファンディングに対する誤解と認識不足【炎上考察】アイキャッチ
 

 

2015年にKickstarter成功して4年、永き時を経てやっと発売されました。ゲームは問題ないのですがそれ以外で問題山積みです。とはいえ、うれしいーーーーー!ホントうれしい!遊び倒すぞー!!!
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祝・Bloodstained: Ritual of the Night発売

イヤー、ほんと長かったですね。プラットフォームの変更や開発会社の変更など、諸々の困難を乗り越えて、まずは本当におめでとうございますと言いたいです。

「悪魔城ドラキュラ月下の夜想曲」をやって衝撃を受け、ゲームの世界に入ったポテコには本当に待ち望んだ新作でした。だいたい内情も見当がつきますし、いろいろ苦労しているんだろうなーと思ってしまっているのでとにかく無事に出ただけでも御の字という感想なのですが、世間的にはなかなかそうもいかないわけです。

以下、思ったことをつらつらと書き記しますが※個人的感想です。

どうして大炎上してしまったか

特典の変更や追加などの不公平感、Backer専用(のはずだった)DLCの早期販売配信開始などなどかなり不手際が重なってしまったのが大きな原因のようです。発売の延期などに対するお詫びとして発表されたものが、一部コースの特典に含まれていたものであったり、何とかしようとして墓穴を掘っていく結果となってしまいました。

特に期待の高かったであろう日本では、パッケージ版の発売の長期延期という大ダメージもあり、Backerさんたちからは総叩き大炎上といっていい状況です。そりゃそうだ。

渡し守じゃなくて馬車に乗せてもらえる

「クラウドファンディング」って豪華特典付き予約じゃない

なんでこんなに燃えているのかというと、個人的にはKickstarterなどのクラウドファンディングというものの認識が相当ずれているから、というのが根底にあるような気がしています。

クラウドファンディングにお金を払っている方の中で、それが「投資」であるということを理解している方ってあまりいないのではないでしょうか。
ほとんどの方が「豪華特典付きゲームを予約した」と思っていると思います。自分たちを「お客」であると思い、必ず100%、またはそれ以上のリターンがあって当たり前と思っているのであれば、この怒りも何となく理解ができます。
さらに、海外サイトでの募集であるため日本語の情報をきちんと把握できていない方が多かった。アンケートなどもあったかもしれないが見ていない方もいて、実際の株式投資では、そんなもの「見ていない方が悪い」自己責任の範疇なのですが、「投資」ではなく「予約」と思っているので、「どうしてきちんと情報を出さないんだ」という怒りが大きくなってしまったのだと想像します。

そして、クラウドファンディングに対しての認識が間違っているのは、お金を集めている方も同じだと思っています。Backer(=投資者)が自分たちに対して信頼をし、期待をしてお金を「投資」しているという認識が希薄という、双方に原因があるパターンだと思います。

情報の錯綜と不足

今回炎上し、燃え上がった燃料として、その認識の薄さが招いた対応のずさんさが大きな割合を占めている部分もあります。
投資家に十分な情報を与えるのも務めだと思いますが今回それが決定的に不足していました。
BackerにはDiscordへの招待URLが送られ、そこで最新情報などが告知されるのですが、そこでしか共有されていない情報、すべての言語で出されるわけではない情報(discordスレでは日本語スレッドもありますが、公式アナウンスは少なく、ほとんどが有志の情報ばかりとなっています。)ばかり。
勿論、先ほども書いたようにきちんと情報を自分で取得しないBackerも悪いのですが、日本発のタイトルであるにも関わらず、見た限り日本語ネイティブではなく、翻訳ソフトかあるいはある程度の日本語のわかるスタッフからの片言のアナウンスのみであり、日本人に対しての配慮がほぼないというのもよくなかった。

定期的に配信されるメールでは、制作状況や、ファンアートの紹介、特典の紹介などで重要な情報がそんなにあるわけでなく、日本語テキストはついていたりいなかったりと安定しない。
発売前のサーベイ送付先住所最終確認に至っては、注意喚起のメッセージが、確認締め切り当日の夕方ごろ配信されてきたりとあまりにも後手後手の対応で、「豪華特典付きゲームを予約したとは思っていない」ポテコですらちょっと不信を抱くレベルです。

(さらに言うと、住所記入のフォームが途中で変わっていて、日本語フォームが追加されていたのですが、全部デフォルト「北海道」に変えられていた。郵便番号があるから大丈夫とは思いますがものすごいびっくりしました。)

特典やDLCの件についても、アナウンスはした、ということですが届いていなければ意味がない。日本人だけが聞いていないのならともかく、各国で不満が出ているのでこれは全体での周知不足であると言えるでしょう。

小さな会社で少ない人数でやっているにしろ、あまりにもお粗末であったと思います。

日本はメインストリームではないので後回しなのはしょうがないという事実だけど

国内で勿論話題ではあるのですが、それでも全体として日本からの購入者は少数派だという悲しい事実があります。現在国内では一部巨大タイトルを除き、かつてのような本数の出荷は望めません。ですから、今回発売延期はどうしようもなかったのではないでしょうか。
「予期せぬ流通上の問題」と言っていますが、実際「いつ出るかわからないパッケージの販売予定がたてられないから、発売が決定するまでどこのパブリッシャーも契約してくれなかった」というのが正しいのかなと思います。
出せば売れると言っても、Backerの数で売上予想はたてられてしまいます。「これだとだいたいこのくらいしか売れないだろう、お金をかけてイロイロやっても、いつ出るのかわからないし、そしたら赤字だ。決まったら教えて!」とわたしでも思いますもん。
とはいえ、それはどう考えても予期できてただろうよ、もっと早く告知するとか対応とれたんじゃないの…、確実にミスだと思います。出資者に対して誠実ではないですよね。

Backerとしての個人的感想

今回の騒動から見て、やはり「クラウドファンディングは投資である」という認識を双方きちんと再認識するべきでしょう。

本来の投資では分配金や配当金それにプラスして特典としておまけがつく。その「おまけ」の部分がソフトであり、追加の特典グッズやサントラ、DLCなどなわけです。配当金がなく、株主優待のみが設定されている状態なわけです。それを目的に株を買う方も勿論いるわけで、期待すること自体は悪いことではありません。
とはいえ、「投資」なのですから「失敗」もあります。ただ待つだけではなく、自分のお金を出したからこそより身近に、ワクワクドキドキしながら発売を待てる、自分の助けで自分の応援するゲームが開発を終えることができた、そういう楽しみにお金を払ったと思えない人は、本来あまり手を出すべきではないのです。
ゲームではないですが、お金を集めて、製品ができないまま倒産という会社もあったように(クラウドファンディング会社から返金はあった模様)、100%というものがないということを出資者はきちんと念頭に置かなければなりません。
今回に関しては製品は発売されたので投資としてはそこで成功です。特典の送付や発売時期について変更があったのはそういうものと諦めるしかないです。それはあくまでおまけなのです。(投資家特典を減らした会社の株は軒並み下がりますが…。)株を売るという表現方法がない以上、炎上という方向に行くのは当然と言えば当然の動きです。これで次はないなと思えば次回があってもBackしなければよい、それだけです。投資家が集まらなくなってクラウドファンディングが失敗するという結果となれば残念ながらそういうものなのです。

出資を募る方は、出資者以上にきちんと認識していかないといけないでしょう。特典の増減は会社が勝手に決めて結構です。しかし、それならきちんとした説明・対応を出資者にはするべきです。そして、予定している期間できちんとした製品を作るということを徹底すべきです。クラウドファンディングという手法が気軽に行えるようになってから、「出資を募る」という行為が軽々しく扱われすぎです。

Steamなどでみられる、お金をもらってずるずる開発ということができる今の状況は、ゲーム開発にとって良くはないとつくづく思います。ゲーム業界が自分で自分の首を絞めていっているようにしか見えません。この状況が続くときちんとしたゲームが出なくなるのではないかという危機感をずっと持っています。ゲームと呼べない粗悪品が多すぎます。お金払ってデバッガーするなんて、笑えない冗談です。(これに関しては昔から問題ではありますが。)しかも製品が出るかどうかが賭けなんてとんでもない。作成途中のゲームをほったらかしてフェードアウト状態のタイトルもたくさんあります。続けば今度はユーザーが減っていくだけです。
後からいくらでもアップデートができるようになって開発者の意識はものすごく低下しているのが現状です。無料で遊べるソフトが多い中、予約者であれBacker(出資者)であれ、商品が出るより先に自分を信頼してお金を払ってくれると言うのがどれだけありがたいことなのかを、しっかり認識してもらいたいと思います。

開発者に関しては、とにかく「ちゃんとしたゲームを出せ!」につきます。

以上個人的な思いをバーッと書かせていただきました。思い入れが強いタイトルなのでごちゃごちゃ言ってますが、とにかく本当に、発売まで行けて良かった。新作が遊べてうれしい。ポテコ的にはそれだけです。長々と呼んでいただきありがとうございました。

ゲームはおおむね満足のいく出来

月下の夜想曲オマージュの図書館

救いなのは、ゲームとしての出来は良く、ゲームに対して不満を述べている人があまりいないということでしょうか。予想されていた通り、月下の流れを汲んだ(月下オマージュたくさん!)IGAヴァニアで、3Dモデリングされたキャラクターや背景で、2D横スクロールゲームとして制作されています。グラフィック・ゲーム性共に期待されていた内容通りでそこは安心した方も多いのではないのでしょうか。

逆にポテコは内容のほうにちょっと不満なのですが…(笑)。もともとPS4パッケージを希望してたので、現状代替として配布されたSteamキーを使用し、STEAMでプレイをしています。XBOXコントローラが使いにくい!とか、個人的感想も含めそれは別記事で書こうかなと思います。